タブラトゥーラと波多野睦美(4)2008/09/10 08:00

「紅い花とトロキルスとファイアマンと僕」
江崎浩司(タブラトゥーラ/リコーダー)

僕がタブラトゥーラで採用して頂いてるオリジナル曲に、「紅い花」という曲があります。以前タブラトゥーラが音楽を担当した「花よりもなほ」という映画でも、死んでしまった小鳥のお墓を作るシーンで採用されました。この曲はその映画のために書いた曲ではないのですが、たまたま映画の話が来る前の新作だった曲で、おまけに映画タイトルに含まれる「花」が曲名にも含まれていたため「おお!」と喜びました。

この曲は自分で言うのもなんですが、失恋から生まれた曲で、絶えず続く伴奏系の音の運びがその彼女の名前になっているというものです。実にせつないなぁ。彼女はその後すぐ結婚したという情報がありましたので、映画の小鳥のお墓のシーンは、彼女への想いが死んでしまった感じがしてさらに現実味がありました。実に、実にせつないです。

さて、元気をだして次の作品。

「トロキルス」という曲は、とても速い曲です。ライヴでは、耳にも目にも速い。トロキルスはラテン語でハチ鳥。一秒にものすごい回数羽ばたいて空中で止まることもできる。もちろん目にもとまらぬ速さで駆け抜けることもできます。やったー! こうなったら、生き生きと飛び回って、こっちの花の、あっちの蜜を、好きなだけ頂きましょう!

次の作品は「ファイアマン」。

最新作なので、まだ録音もしていません。もともと汽車が走るイメージで作りました。汽車の機関室で、汗をかきかき、木炭を火にくべる男。ポー!っと汽笛がなったら重い汽車は徐々に速度をあげる。煙もくもく、汗をかきかき。速度をあげるためにスコップをつかみザクザクとくべる。ポー!っと汽笛。男はあまりの熱さで意識がもうろうとしてくる。

汽車はスピードをあげ、車輪がものすごい音をたてる。煙、汽笛、汗、炎、車輪音。

客室では、いちゃいちゃしてアイスクリームを食べてるカップルがいるかもしれないのに、男は黙々と働くのです。たぶんそうする理由があるのです。頑張れよ! ひたむきに頑張るんだ! そうすれば必ず報われる!

ん〜、こういう作品なんですよ、江崎作品は。こういう紹介が一番わかりやすいと思います、というより、僕のことだから、そうなのです。

END