山下洋輔(3)2008/10/07 10:28

今回、山下一史さん指揮の仙台フィルハーモニーと共にやらせていただく自作の「ピアノ協奏曲第3番<Explorer>」について書かせていただいています。

オーケストレーションをやってもらうことになった挾間美帆と立川ヤマハのスタジオで初ミーティングをしたのが2007年の5月でした。その年の東京オペラシティの新春公演は「師匠」と仰ぐセシル・テイラー氏に来てもらって、デュオ・コンサートが実現していました。リハの時はフリーの即興でノンストップ1時間半の演奏が2日間で4回。本番は45分間ノンストップでやりました。2台のピアノで思いっきり好きなことをやり合う究極のフリー・ミュージックだったのですね。その後遺症というかテイラー先生の世界の凄さにあらためて触れて実は半年間はぼおっとしていたのですが、5月はまだその後遺症のさ中でした。

それで初ミーティングにはそのデュオのDVDを持っていって、見てもらったのです。

「こういう音楽をやることが自分の本分なのだが、これにオーケストラの音はつけられるものだろうか」という問いかけを最初にしたわけです。つまり「こういう目茶目茶な人間ですが、面倒見てもらえるでしょうか」という自爆自己紹介なんですね。DVDを見て音を聴いた挾間美帆は「私ならこの箇所にはこういう音をつけようと思います」と、きちんと自分の意見を述べてくれました。さすが先生たちに一目置かれるだけのことはあって、強烈な存在感を放つと同時に、音楽ヘの理解と創作への意欲がびしびしと伝わってきました。

他にも作業のやり方について原則的なことを確認しました。こちらの立場をよく分かってくれて「音さえ聴ければ大丈夫です」との頼もしい言葉にはとても安心しました。後に実は音だけではなく「言葉」や「映像」でもこちらの意図を伝えて、それを音にしてもらうという、オーケストレーションの役割を超えた、ほとんど「共作者」という立場に挾間美帆はなってくれます。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://sencla2008.asablo.jp/blog/2008/10/07/3804555/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。