日本の諸フェスティヴァル2008/05/08 07:59

いつの間にか、日本でも色々な音楽祭が開かれるようになってきました。

このゴールデンウィークでもラ・フォル・ジュルネが東京と金沢で開かれ盛況だったようです。本ブログ管理人の高橋さんが金沢に行ったはずなのでレポートでもしていただきましょう。

夏になると東京で「目白バ・ロック音楽祭」という文字通りバロック・ルネサンス音楽を中心としたもの、「東京の夏」という高度なテーマ性を持った民俗音楽とクラシック音楽によるもの、の2つが開かれます。

夏は音楽祭の季節で、札幌のPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティヴァル)、草津音楽祭なども著名です。秋になれば松本でサイトウ・キネン・フェスティヴァルが始まります。

国際的な知名度を持つものだけでも、このように様々あるわけですが、そのあまたある音楽祭の中での「せんくら」の特徴は何なのでしょうか?

いい音楽祭はそれぞれ特徴が際立っています。(そうでなければスポンサーもつかないでしょうし。)PMFとか草津は基本的に若い音楽家のための教育音楽祭です。そこから巣立ち世界で活躍している一線級もたくさんいます。サイトウ・キネンは小澤征爾さんの吸引力で著名演奏家も聴衆もスポンサーも集まってくる、という典型的なグレートアーティスト主導型です。

ラ・フォル・ジュルネはアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンさんが中心となり、作曲家によるテーマ性とそれをコアにした多彩な祭典性で際立っています。一般の方とクラシック音楽の垣根を一気に低くした業績も顕著でしょう。東京フォーラムでのものが典型ですが、金沢のほうはそれにプラスして井上道義さんによるアーティスト主導型の色合いも若干加わっているようです。

「東京の夏」と「目白バ・ロック」は江戸京子さん、武田浩之さんという強い指導力を持ったプロデューサーを中心に突っ込んだテーマ性による個性強いイベント群が魅力です。

で、「せんくら」ですが、これは何と言っても「一コマ千円で高度な内容のものがよりどりみどり」というのが最大の特徴でしょう。テーマ性はもたず、安い値段でフラッと入ったものが、とても上質でアーティストと聴衆の濃密なコミュニケーションがある、ということです。簡単に言えば、専門店並みの良質な製品を扱っている100円ショップのようなもの、といったところでしょうか。

それを成立させ、続けていくためには、満員に近い売れ行き、自治体側のサポート、地元企業のスポンサード、実質的なボランティア群といった諸要素が不可欠で、それがある程度成し遂げられたことで、第3回目の開催に至っているわけです。

ということでそこに至れたことには感謝の言葉もありませんが、上記の諸フェスティヴァルの多くは10回以上それを積み重ねているわけで、それぞれのご苦労に対しては「お疲れ様」を通り越して「唖然」とするしかありません。

せんくら2008プロデューサー 平井洋