松下功(4)2008/08/20 09:29

今年は、本当に暑いですね。この暑い中、高校球児はえらいですね。オリンピックで視聴者も減っているのがかわいそうですが、何しろ倒れないように頑張ってほしと思いました。しかし、地球温暖化を何とかしないと大変だ~~!

7月初旬にスイスのインターラーケンに行ってきました。ユングフラウ音楽祭で私の曲「飛天の舞」が、指揮講習会の課題曲になり、レクチャーをしながら来ないかとのお誘いを受けました。「天空の舞」は、吹奏楽曲で、不動明の真言のリズムを用いています。2+3+3, 2+2+2, 2+3+2とい21拍子という複雑な拍子ですが、若い指揮者たちが熱心に取り組んでくれました。この曲は、昨年に「飛天の舞」、「飛天の祈り」、「飛天遊」の3曲からなる『飛天三部作』として演奏されました。全体は、50分からなら三部作ですが、私の<飛天シリーズ>の集大成です。しかし、スイスは涼しかったな~!

今年の4月には薬師寺のお坊さんたちとの曲を書きました。これは、東京で開催された「薬師寺展」の時に要らした10名のお坊さんとオーケストラのための作品で「声明カンタータ」と題しました。声明は西洋的発想では、とても扱えないアジア、いや日本独自の音楽です。それぞれが自由に唱えている声明に伴奏をつけてしまおうという、大胆不敵な試みでしたが、不思議な音響空間を見出すことが出来ました。再来年は“平城京遷都1300年”ですので、薬師寺でこの曲が演奏できたらいいな~~!

といいつつ、この所仏教物の仕事を多く行っています。今年11月には、東京・板橋の安養院で5仏の開眼法要を作曲します。演奏は真言宗のお坊さんとアンサンブル東風です。


* 写真は、ユングフラウヨッホ(温暖化で氷河が減っているようだ)

藤原真理(4)2008/08/20 09:43

古典の神様のようにいわれているバッハは、1720年代の当時でもまだ独奏楽器としてもてはやされるはるか以前であったチェロのために、無伴奏で組曲を書きました。画期的なことでありすぎたのか、作曲されてから100年ほどは作品自体はあまり知られずに、どこかに埋もれていたようでもあります。実際は際限がない奥深さをもち、多くの可能性を秘めた曲です。スペインのチェリスト、パブロ・カザルスによって再発見され、チェリストにとっては無視できない、聖書のような存在になっています。

2番の前奏曲はロマンティックですが、4番の組曲は明るい調性で書かれているのに、弦楽器で演奏する身としては気分は重い。調性のせいかどうか、楽器の発音の際に雑音が出やすいというのが最大理由です。そう思うのは私だけでしょうか。ここ10年ほどかけて、かなり改善はしましたが、解決した訳ではない。それこそ、いつかバッハのお墓に詣でてお礼参りがしたいと思うほどに文句も言いたい。でも、そう思う私にとっても、無数に近くある彼の作品のそこここには、心にしみいる和音と旋律があることも事実です。偉大なんですね。

若いときは特に血気盛んで決闘をして牢屋にぶち込まれたり、子供が大勢いて生活が大変だからお給金を上げてほしいと切々と領主宛に手紙をしたためたり、自分の作品の複雑な音型にオルガニストが指をもつれさせるのを見聞きしてげらげら笑ったりという逸話を知ると、彼も同じ人間なんだと納得させられました。

[写真:アメリカ・マンモス・マウンテンに行く道中の風景のひとこま]