荒川洋(3)2008/07/22 12:20

第3回 音楽の力

フルートの荒川洋です。僕がフルートで参加している「宮崎駿監督作品崖の上のポニョ」。初日からすごい人気のようです。久石さんの作った曲でみんなが歌ってるのを見て、こちらも嬉しくなります。

実は僕も少し曲を作りまして、NHKの番組「情報テラスみやぎ(朝11時半~)」内で「みんなしあわせ」という僕の曲が毎日流れています。(演奏:荒川洋(フルート)、荒川知子(リコーダー)、篠崎和子(ハープ))この曲を作っていろんな人に聴いてもらっていると、本当にポニョの曲がひろまって、映画のイメージを広げていく力に、とても深い感動を覚えます。

僕は昔から音楽と映像のコラボレーションする仕事が大好きで、いつかそういう仕事(製作)を手がけてみたいなと思ってます。「絵」と「音楽」のコラボレーションは、いわゆる歴史が深いですが、たしかにどちらもイメージがしやすくなる効果がありますよね。昨年僕が作ったエッツの「もりのなか」に音楽をつけた音楽物語「もりのなか」(村松楽器(03-3367-6000)にて販売)も、そういう意味では初めて楽譜にしたもので、これからも作り続けてみたいカテゴリです。

ほかにも、とよたかずひこさんの絵本「バルボンさんのおさんぽ」(フルート&ハープ&語り)も作りました。4分くらいですが、一度とよたさんと篠崎和子ちゃんと演奏したことがあります。

音楽と映像だけでなく、音楽と地域という考え方にも非常に興味があります。

僕は全国各地にソロでいく機会があるのですが、その都度曲を作るようにしていて、単発のときはフルートと共演者とのために1曲、アウトリーチもかねるときは、その地域の人たちや子供たちのために1曲をなるべく作るようにしています。

北海道中標津にいったときは、ハルニレ伝説や、ヤマベの魚のことを綴った合唱曲「またあえる」、今度富山に行きますが、砺波市の四季の美しさ、庄川の流れる地元の誇れる豊かさを歌った「季節はめぐる」など、だいぶ曲もふえてきました。何か地元の人と一緒に地元の事を音楽を通して考えられるのも素敵なことじゃないかなと考えたりもします。

そうそう宮城県の曲もあります。宮城県本吉町に演奏でお邪魔したときに作った「かぜがよんでる」。はまなすの風、大谷海岸からながれてくる潮風が山に咲くやまつつじまで届く様子を歌にしたもの。地元でいくつか関わってくれた学校や、聞きにきてくれた方々はみんなうたってくれました。知らない土地でもこんなにみんなが喜んでくれるんだ、という喜びがすごいこみ上げてくるし、かけがえのない思い出になります。


音楽って素敵ですよね。人や作品、いろんな物をつなげるアイテムにもなるんですね。




そういえば、前回十勝ワインのこと書くっていって全然かいてなかったので、次回へ。





作品全般お問い合わせ先。(発売元:サウンドテラス: sound_terrace@mac.com)

福田進一(3)2008/07/22 16:38

こんにちは。一昨日のブログにも書きましたが、今年前半は海外での演奏活動が主になっています。
「今年は」というより、お蔭様で近年ずいぶん海外からの演奏依頼があり、世界各地で様々な聴衆の前で演奏させて頂いています。

実は先日の徳島の演奏会の折にもステージからもお話しをいたしましたが、スペインのお客さまは、1曲ごとに熱狂的な拍手をして下さる。ところが、全てのプログラムが終わると、「あれっ」と思うくらいあっけなく会場を後にしてしまうのです。ちょっと拍子抜けして地元のギタリストに聞いてみれば、みんなアフター・コンサートを楽しみむためそれぞれのお気に入りの店へ一目散なんだろうとのこと。22時から始まったコンサートにもかかわらず、夫々コンサートの後の楽しみも持って演奏会に来てくださるわけです。さて、国民性の違いでしょうか。日本のお客様は1曲ごとでは大変控えめで、でも、プログラムが終わるとなかなか帰して頂けない(笑い)。件(くだん)のギタリストと、どちらがいいのかと酒の肴にして盛り上がりました。

昨年末、パリでの演奏会の後、ちょうど産経新聞に寄稿したものを引っ張りだしてきました。どうぞご一読を。

-拍手が聴衆を育てる-
「日本と海外では聴衆の反応が違いますか?」よく聞かれる質問である。11月中旬に、パリのサル・コルトーで独奏会を行ったが、内容は武満徹と日本の現代音楽。フランス人の知らないレパートリーだ。しかし、1曲目から大いに盛り上がった。自慢に聞こえたら嫌なのだが、弾き終わってもブラボーと拍手が止まず、座らせてもらえない。その2週間前にほぼ同じ内容のリサイタルを東京文化会館で行ったのだが、やはり現代曲に接した標準的な日本人の反応だった。もの静かで控えめな拍手だったが、最後まで熱心なお客様だった。肝心の演奏の出来に関しても大差なく、たぶん東京の方が少し良かったかと思う。が、演奏家も人の子、褒められて嬉しくないはずはない。何といってもパリでの反応は気持ち良かった。では、日本人は西洋音楽を聴く姿勢がないのか? と蔑む意見も出てくるだろうが、主催者に聴衆を育てる情熱と時間があれば、日本でも実現出来ると私は思っている。
実際、フォレスト・ヒル音楽工房という企画会社が九州・博多にあり、ここが250席のホールで主催する演奏会シリーズはいつも聴衆の拍手と熱気が渦巻いて盛況である。そのマナーと反応の良さには外来演奏家も驚嘆し、私の自慢の場所になっている。社長の森岡氏によると、この良い聴衆を育てるのに20年かかったそうだ。そう!フランスは革命以後、その10倍の年月をかけて小さなサロンコンサートから劇場へと聴衆を育て上げたのだ。なんだ、つまり全く同じことを気長にやったに過ぎない。追いつけますよ。でも、どうやれば? ひたすら音楽会を楽しんでもらう。良かったら思い切り拍手してもらう。やはり、結局、それしかないのである。

*写真は第1回の「せんくら」のオープニングを飾るコンサートのものです。
実はこの時、悪天候で上海からの飛行機が仙台に着かず、関西空港から陸路、夜行列車を使い仙台入り。開演15分前に会場入りしました。
海外での演奏会が増えるとこんなハプニングも。でも演奏生活25周年、今だ演奏会のキャンセルは一度もありません!勲章です。